日本は有休消化率が低いことが良く取り上げられるが、国民の祝日などが多く年間での休暇日数は上位に食い込んでいる。
Google先生で調べてみると下記のようである。
①祝祭日17日で世界No.1。
②有給休暇10日で世界No.11。
③祝祭日・有給休暇総合計27日で世界6位。
なお総合計1位はフランス、スペインで39日。休暇が多そうなイタリアでも28日、米国は24日で日本より少ない。お隣韓国は17日と12位。
休んでいる日にちは多い方なのに、なぜか休んだ感がしないしリフレッシュして頑張って働こうなんて思えない。そして日本人は働きすぎで休めていないと報道される。
祝祭日は多いが、有休を取得しない働き方は勤勉な日本人の国民性を見事に反映しているのではないか。
つまり日本人は、横並び式でみんなが休みの時は気兼ねなく休めるためどんどん祝祭日を増やしている一方、みんなが働いている時に取得する有休は取得しづらい環境があって、更にその環境を自ら守っているということである。
みんなが働いているのだから、家族の用事があっても体調が多少悪くても職場・取引先が気になって休めない。といった非常に心情的な問題で休めないパターンが圧倒的多い。もちろんブラックで多忙で休ませてくれない会社も相当数あるが。
気兼ねなく休まずに仕事に対してきっちりと取り組む姿勢は日本人の国民性なのだろう。島国だしみんな一致団結することが美徳なのである。日本「村」に住んでいて村八分にされることを恐れている。
みんなが働いている時に「有給休暇は権利なので堂々と休ませて頂きます!」と胸を張って言える人は少数派である。みんなお互いの協力の元、チームワークで仕事が成り立っていることをよく理解している。
仕事を休むことで、誰かに自分の仕事を手伝ってもらうことは「恥」と思っている部分もある。国民性というよりかは「武士」のような心構えだ。
イメージであるが、「自分が出来なかった仕事を他の誰かに対応してもらうくらいなら切腹致す!」
と言った感じだろうか。自尊心なのか、迷惑をかけたくないのか、自分が仕事ができないことは「恥」と思っているのか。
日本は「恥」の文化であるとも言われるが、「恥」をかくことはこの上なく宜しくないと心の中に植え込まれているのだ。
海外の会社は新規に採用するとき対象業務を明確にした「ジョブ・ディスクリプション」を詳細に記載している。この詳細の内容に沿った仕事が責任の範疇であるため、逆に言うとそれ以外の仕事は責任がないことになる。
日本のように業務をはっきり明確にせずにグレーにしておいて、業務をできるだけ広範囲でできた人を昇格させるような方式ではない。
日本の業務はよく野球に例えられる。レフトとライトの間のどちらに落ちるか分からない「グレーゾーン」ボールを積極的にレフトが取れば評価されるし、ショートが取ればもっと評価されるような仕組みだ。
海外のスタンダードの基本はレフトがレフトの仕事をきっちりこなすことが最優先で、他守備範囲のボールがどうなろうが基本的には関係ない。自分は自分、他人は他人。他人の責任範疇に口を出さない代わりに自分も口を出さない。
ドライなようではあるが、非常に明確である。そのため業務にブラックボックスがないから休んでも替りに他の人が対応できるし、なによりも「ジョブ・ディスクリプション」を明確に表記するため業務のマニュアル化が非常に進んでいることになる。これがホワイトカラーの生産性が高いと言われる一端であると思われる。
日本の会社ももっとこの「ジョブ・ディスクリプション」を明確にして個々人の業務の見える化をすることが大事である。これこそが働き方改革の第一歩のはずである。
もっとも日本人的な「グレーゾーン」を積極的に取りにいって評価される仕組みは残していくべきであるが。