おじさん同士の飲み会を日本式にかしこまっていうと「接待」や「会食」と言う。この「接待」の中でも定期的に取引先のおじさんをこれでもかというほど持ち上げて、会食、二次会、三次会、ゴルフ、釣りなどにお誘いする日本式ザ・接待はこれま日本独自の特異な文化と言われてきた。何が日本独特なのか分からないが、おそらくはトップから担当までくまなく層別に、べったりとプライベートまでに入り込んで接待するためと思われる。
時にはお客様のゴルフの練習に付き合い、前後の送迎、食事等は全てサプライヤーサイド負担。宴会なども盛大に行い、お客の層によっては宿泊さて普通コンパニオンからスーパーコンパニオンまで取りそろえ、正に、酒池肉林状態となって懇親を深めるようである。
このようなズブズブのザ・接待の効果がどれだけあるのか測りようもないが、やはり人間同士なので一緒に過ごして、言うことを聞いてくれる人間に対しては「親近感」が湧き、「寛容」になるのが「普通」である。接待する側もされる側も仕事であると言い訳をしながらその状況に甘んじているのである。
接待される購買サイドが、何を基準に購買先を選定するのかは本来はそれなりの基準があってしかるべきであるが、これまでの日本の商習慣では既存の取引先が最優良であり、一緒に改善をしながらより良い製品を作り上げていくという文化が強かったため、取引先の変更は非常に少なかった。(ゴーン氏がこれを破壊したが)
ザ・接待が、既存取引先との関係を強固にしてしまったため、新規取引先の介入を心理的に、組織的に妨害し、平等な競争をさせないようにしていたのかもしれない。もしかしたら日本のものづくりの競争力が低下しているものこのような不平等取引が原因の一つであるのかもしれない。
いずれにしても、このザ・接待だが基本的には同じ空間で時間を過ごして仲良くなることが目的であるが、おじさん同士、いきなり仲良く、ズブズブになるのはなかなか難しい。しかも完全に利害関係者である。
時々気の合うおじさんもいるが、それはまれで、基本おじさん同士、仕事と割り切って、楽しくなくても、酔っぱらったりして最大限楽しむようにしている。
そのため本音としてはこのザ・接待は開催すること自体に50%以上の目的があって、あと会食中の酩酊状態でのコミュニケーションはほんの数パーセントの価値しかないと思っている。(時折重要な情報もゲットできるが)
若い頃と同じで、一緒にどれだけ沢山飲んで酔っ払って二日酔いになったかを、後日楽しそうに話すというのがザ・接待の基本でもあるが、その時に一体なんの話をしたのかはほとんど覚えていない。効果としては、お互いの何となくの人物像が見えてきて、警戒感が薄れる程度である。
本当はこのような面倒な行事は今すぐにでも廃止して欲しいものだが、コミュニケーションや働き方改革などを強制的に進めなければいけない昨今の環境では、このようなザ・接待は業務を進める上では意外と重要なポジションを占めてきている。必要だとは思うが、もう少し簡易かライトなザ・接待にしてもよいと思うのです。