2019年はアメリカに出張で都合3回行った。18年前に出張した以来で久しぶりでいきなり3回行ったことになる。
2回は事前計画にされていたものであるが、1回はトラブルが解決せずに仕方なく北米に出向いてのFace to Faceの打合せであった。わざわざ北米に行ってまで後ろ向きの打合せをしたのである。お互いが譲れない自己主張をぶつけあい、言語が異なる上に先方はお客という圧倒的立場の違いがあることからストレスフルな出張であった。
民間企業間なので基本的にはお互いの裁量で自由な取引であるがやはり不平等な取引というのは少なからず発生している。かなり稀なお互い「WINWIN」の取引を除けば、「利益」をどちらが取るかという駆け引きになるからである。
そして余程製品・サービスに差別化ができていなければ「買う側」が圧倒的に強いことになる。もちろん「売る側」にも売り先を選択できる権利はあるが、そんなに選択できるほど余裕がない製品やサービスの場合は「買う側」に服従せざるを得ないのである。前面に立つ営業のつらいところである。
ところでアメリカに入国する場合は事前に「ESTA」の取得が必要であったり、セキュリティーが厳しく、入国に時間がかかると聞いていたので緊張をしていた。
最初の2回はアメリカ出張経験のある英語の分かる人間と一緒だったので安心であったが、最後は単独での移動だった。しかもアメリカ国内の飛行機移動(乗り継ぎ)もあり不安が多く中年にはストレスのかかるものであった。さらに乗り継ぎ時間が短く、最悪は次の便に変える覚悟でいて、帰国したら旅行会社に文句を言ってやろうと思ったが結果問題なく全然間にあった。
ところで飛行機での移動中はアホみたいに映画鑑賞をするが、やはりアメリカハリウッド映画の完成度は高く見る事が圧倒的に多い。
派手なアクション系の正義の主人公が逆境に陥りながら友情で勝つ内容も悪くはないが時々ヒューマンドラマ系も息抜きでみることがある、その中でもハリウッド物は「人種」や「人権」を扱った映画が必ず一定数あるようだ。
先日飛行機で「LUCE」と言う題名の人種系映画を見た。
機内の冊子には人種問題と記載されながら「サスペンススリラー」とよく分からないうたい文句が出ていた。
内容は紛争地域で育った黒人少年兵をアメリカ夫婦が引き取って育て上げたが、優秀な高校生となったその青年の過去や黒人であることによる周囲の変化と本人の悩みやプレッシャーを見事に描いていた。
個人的には年をとってもキレイなナオミ・ワッツも出演していて見応え充分であった。
映画はアメリカの人種問題の根の深さを理解するいい機会になった。日本にも差別問題は色々あるがあまり浮き彫りされない。日本の差別問題とアメリカの黒人問題を比較は出来ないがそのような問題が社会の根底にある事を認識するのは海外出張や旅行に行くのであれば大事なことである。
地域によってはタブーがあったり、危険な地域も少なからずあるからだ。
今回アトランタにも寄ったが黒人が多かった。別に危険であった訳ではないがハリウッド映画のおかげで残念ながら偏見を持っている自分に気が付いた。人種問題映画も良し悪し。空港でチェックインカウンターを聞いた黒人も心なしか不親切、ぶっきらぼうな感じがしたし、飛行機から荷物を出す職員も大事なかばんを乱雑に扱っていた、と感じてしまったのである。